自転車選手的筋トレ

自転車競技選手にはウエイトトレーニングは必要か?不必要か?
長年様々な意見が交わされ、いまだに着地点が不透明な事の一つ。

日本人で一般的な身体資質で日本で走っているとしたら、必要だと思う。
上記の理由は、一般的な日本人は自転車に乗っているだけでは自転車で必要とされる筋肉が付き難い。「日常生活を送っているだけ」で筋肉が隆々と盛り上がっている外国人ってのは腐るほど居る、しかしそんな日本人は稀だ、何かしらのトレーニングを行わないと筋肉など付いてこない。そんな外国人が自転車で走っている環境を考えてみよう、自転車先進国のヨーロッパでは所々に石畳があり、アスファルトだって綺麗だとは言いがたい。そんな路面状況の中をハンドルをしっかり握ってバイクが暴れないように押さえバランスを取り、どっかりサドルに座らずケツを浮かす事も多く、路面からの振動が足を刺激する。日本では綺麗なアスファルトが永遠に続く、アスファルトが割れていたり大型車で出来た轍があれば危険だといって回避する。
石畳を走った事があるだろうか?日本ではなかなか体験できないが、多摩川の河川敷(CRの下の砂利道)でも走ってみると感じは似ているだろう、平坦を走っているだけなのにスピードを上げれば上半身がキツクなっていくのが判ると思う。それだけ上半身を使っているという事で、そんな場所を練習やレースで走っているヨーロッパのライダーが筋トレをしないのと、常に綺麗な場所を走っていて、もともと筋肉の少ない日本人ライダーが一緒なはずがない。
不必要だと言われる理由のもう一つに、筋トレ=筋量アップという考えが多くある。
これは自転車選手=競輪選手みたいな足の太さ、と同じ事で、筋トレは筋量を増やしたりMAX重量を追い求めるだけのものではなく、神経系の伝達を個別に覚えこませたり、可動域を増やしたり、ストレッチ効果といった事も狙っているのだが、どうも重い重量を上げる事が筋トレだという風潮がある。
個人的にはハイクリーン、ランジ、懸垂、腹筋を行っておけば自転車には十分だと思う。ハイクリーンが上手く出来るようになったら自転車に物凄く活きてくる種目だが、上手くなるまでにかなり時間がかかると思われるので、自宅でも気軽に出来るランジは覚えて欲しい。ランジは自転車の動きにほぼ直結している、動かし方はググってもらうとして、ポイントとしては、つま先と膝の方向を真っ直ぐ前に向けて着地する事。がに股でペダルを踏むライダーは膝が開きやすいと思う、このがに股が腸脛靭帯を痛める多くの原因。がに股にならぬよう意識付けにランジで膝を真っ直ぐ落とすクセを付けると良い。歩幅は広めで行うとハムストリングスと大臀筋に効いてくる、狭いと四頭筋に効きやすい。何も持たず自重で左右100回も行えば筋持久力も鍛えられるだろう。
懸垂はその辺の公園で行えばいい。腕で引くのではなく、しっかりと後背筋を意識して背筋を伸ばして肩を上げないように。10回は出来る筋力は欲しい所。そのままぶら下って足上げ腹筋、水平まで両足を上げてゆっくり降ろす、これは20回は出来て欲しい。
他にはスタビライゼーションという自重でバランスを取りながら行う筋トレもある、ここ数年はもっぱらこのスタビライゼーションばかりを行っている。形式は違えど太極拳や能の中腰姿勢も一種のスタビライゼーションだと考えられる。どんなものかはググって下さい。
とはいえやはり絶対的な筋肉は武器になる。何年か前に修善寺サイクルスポーツセンターでの合宿中に、国際競輪が行われる頃で海外のトップトラックレーサー達がおり、風呂に一緒に入った時に見た選手達の身体は今でも目に焼きついている、実写版ケンシロウか!?と錯覚するような筋骨隆々で無駄な脂肪も無い素晴らしい身体だった。こりゃ競輪で自在にどこから仕掛けても日本人選手は手も足も出ないよな・・と。
一つの目安としてスクワットなら体重の2倍は上げて欲しい。この2倍という数字、しっかりとした指導をするジムなら週末のママさんバレーで楽しんでいるくらいの女性でも当たり前に上げられる重量。自転車にしっかり乗っており筋肉もしっかり付いているのに体重の2倍すら上がらないというのは単純にフォームが悪いだろう、スクワットはフォームさえ決まれば足が太くならずともかなりの高重量まで上げられる。このフォームが決まらず、間違ったな動きで上げて無駄な筋肉が付き自転車に活きないと言うライダーの多い事多い事。僕はガッツリ筋トレを行っていた時は太腿が地面と平行まで降ろして180キロを上げてましたが、ハッキリ言ってここまでの重量は持久系には必要ないです。
筋トレで付けた筋肉や神経伝達を自転車に活かせて初めて筋トレの効果があったとなるのだが、この部分が難しく、上手く行かなくて筋トレを諦めるライダーも多い。まず、筋トレを行う際に「自転車での動きを筋トレに入れる」のか、「筋トレの動きを自転車で表す」のかで最初からどう取り組むのかが違ってくる。・・・ゴメンナサイ、現時点ではどちらが良いのかは判りません。人によって傾向が違うでしょうが、誰か偉い人が研究してくれる事を待ってます。
僕は年によってこの両方を試したが、自転車の動きを筋トレに入れていた方がしっくりきた。筋トレを自転車に活かして行く方法として、「筋肉付いたぜ~踏みまくれるぜ~おりゃ~!」では全然ダメ!まずは集団の後に付いて走る事からです、先頭を引かない。速い動きの中で少ない力で走る事に集中してしばらく走る、人によってこれが1週間かもしれないし4週間かもしれないが、頭の中でペダリングと筋トレの繋がりが出来て無意識で体現出来る様になったら、時速30キロくらいで先頭を走る。ここでいきなり追い込んで踏んでしまうと意味が無いのでじっくり我慢。集団内で走るのと同じ感覚にまでなったら徐々にペースを上げる。ここでも一気に上げるのではなく段階を踏んで1週間くらいかけて徐々に上げて行かないと今までじっくり繋げてきたものがパーになる。
こう書くと「そんなの我慢できん!」と言われるかもしれないが、一つの事でも効果を得るのには時間が掛かるのだ。オフトレの期間に焦る事は無い、気長に春の芽生えを待つと良い。
筋トレは単純に筋肉を付けるだけと思われがちだが、掘り下げると実に奥が深い。
百聞は一見に・・と同じくとりあえず1年しっかりやってみると良い。

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