基礎の大切さ

サイクルスポーツ1月号にて「プロに学ぶ力を速さに換える術」のコンテンツにてコメンテーターとして登場しております。
今回のこの企画は着地点が「基礎の大切さ」という事になって、ひょっとしたら読者は「スペシャルな何か」を期待していて肩すかしを食らったのかもしれない。

タンスの引き出しを閉める際に、引き出しを斜めに押しても角が引っ掛かってビクともしませんが、引き出しを少し持ち上げるようにして真っ直ぐに押せば力を殆ど使わずに閉める事が出来る。引き出し自体が重くて、引き出しの中に何十kgもあるような物が入っていたら、そこで始めてパワーが必要になってくる。

10kgの物を持ち上げる場合に、持ち上げる方向とタイミングがズレると、15kgの物を持ち上げるとの同じパワーが要るかもしれない。それを何十回、何百回と繰り返した先の疲労の差は物凄いことになる。正確な方向とタイミングで行えば余計な負担が掛からず10kgのみの負荷になる。正確な動きが出来ていれば効率も上がるのでより長く続けられる。

基礎という事に関しては、速く走る事以外にももっと大切な安全に上手く走るという部分がある。
自転車競技の多くは集団で走るのでいくらペダルを強く踏めてバイクを速く進ませる事が出来たとしても、周囲のライダーが「こいつ下手だな」とか「あぶねーな」と捉えたら、集団の輪から弾き出される。カンチェのインタビュー記事の中では「落車が明らかに増えている」という事を語っているが、これを読み解くと、苦手なパートや限界付近のでの走行で本人は気が付いていないだけで周囲は危険に感じるようなライディングになってしまっていて、ベテランが「無理しないで後ろに下がれ」とアドバイスをしても、それを聞かずに走って周囲を巻き込んで落車という最悪な結果に。基礎が出来ていて上手いライダーというのは限界付近で走っていても、真っ直ぐ走る、周囲を見られるといった安定感や安心感がある。
こういった限界時に本当に基礎が出来ているのか、上手いのかというのが見えてきて誤魔化せない。
限界付近で追い込みながら道路の白線の上を外れないように走り、追い越していく車の車種やナンバーを復唱したり、練習仲間としりとりをするのも凄くいい練習になる。限界付近での動きと思考の余裕度を高める練習です。