体を動かせるようになろう

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先日は日本のシクロクロスの大祭「シクロクロス東京」でした。
クロスのレースに出ていないのでポイントを持っていなく、海外からの招待選手を含む30人だけが出られるエリートのレースには出場できなくて、いつものC1のレースへ参戦。63人中58番目のスタートコールでほぼ最後方。抜ける場所が少ないレイアウトのコースだったので名物の砂浜でダッシュをするしかなく、他のライダーが余力を残しながらバイクを担いでランニングしている横を全力でランニングして前に上がって行って、そのまま2位に1分以上の差を付けて優勝。2位にはUKYOの畑中君。

会場では多くの人から走り方や練習の仕方を聞かれた。
そこで気が付かされた事があった。
それは「体幹」や「脱力」とかをこのブログやスクール等で今まで言いすぎていたんだという事。
まず、体幹トレーニングを一生懸命した所で、体幹を使えるようになるとは限らないって事。筋肉が付いても動かせなければ意味がない。筋肉が付いたとしても、体幹トレと同じ動きでしか発揮できないとか。あくまでも自転車に乗って発揮できなければ意味がない。
体幹がしっかり出来上がれば四肢は脱力して走る事が出来るってのも、まず出来ないことが多い。
全身を一様に力んで固めるって事は多くの人が出来ると思うが、部分部分を個別に力んで固めるってなるといきなり出来なくなる。特に体の後ろ側なんかは普通に生活していて、たまに自転車に乗ったりランニングしたりする程度ではまず力めない。力む事が出来て始めて脱力する事が出来るので、力めないとは動かせない、という事。そして力んだままスムースに動かす事が出来るようになり、更に個別に力んでスムースに動かす、という流れにあると思う。
よく、力技(ちからわざ)という言葉が使われたりするが、今ではこの力技が悪だと言われてしまう程に、力ではなく動き方によって速さを出すという考えが広まっているが、私は力技は必ず必要だと思っていて、力技は技というだけあって、力を推進力にするには技が要る。力だけで速いのならばスクワットで400kgとかを持ち上げられるパワーリフターが一番速い事になるが、そうではない。技が無いから自転車が進む方向に力を使えない。競輪やトラック競技の短距離種目などではやはり足は太くなるので、力は当たり前に必要で、その上で技が必要。

いわゆる力技がダメだと言われる理由として、力を入れるベクトルがズレている、推進力にならない方向に力を使っている。例えばタンスの引き出しを閉める場合に、斜めから押したら物凄い力を使っても摩擦や引っ掛かりが大きくて一向に入っていかないが、引き出しを真っ直ぐにして押せば、子供の力でも簡単に入っていく。力の使い方ってこういう事だと思う。

部活などで他のスポーツをバリバリにやっていた人が自転車に乗ると、いきなり速い事が多々ある。そういったライダーを見ると、その多くが体力や筋力任せでペダルを踏みつけるようにして走っていて、色々と教えてもらったり学んで徐々にペダリングというモノを覚えていく中で、そのまま速くなっていくライダーと、伸び悩むライダーがいる。これは憶測でしかないが、伸び悩むライダーは、いわゆる綺麗なペダリングとか、体幹を使うとか、脱力だとかそういった事を意識してしまったおかげで力めなくなり、結果的にスピードが出なくなってしまったのではないか?と。全員が全員とも体幹を使って走る事が良いわけではなく、足だけで踏みつけて走ってもアマチュアでトップに近いレベルで走っているライダーは結構な数がいる。そのサジ加減が日本の自転車界ではまだ出来上がっていないように感じる。

クロスのレースを見ていて感じたのは、特に肩甲骨周りが硬い(動かない、動かせない)ライダーがメチャクチャに多いって事。ハンドルにしがみ付いているだけで、ハンドル操作は腕の力で行い、重心の移動が出来なくて足で踏ん張って耐えている。これがマウンテンバイクになると更に腰周りが動かないとバイクを寝かせてニーグリップをするとかが出来ない。
腹筋をいくら鍛えても、その他の部分を動かす事が出来て、脱力する事が出来なければ腹筋の力なんて腕や足や背中と比べたら比べ物にならないくらい弱い力しか出ないので、結局は体幹からの力は四肢の力みによって打ち消されてしまう。

流行りのバイクフィッティングにしても、良いポジションが出てくる事は確かだが、その自転車の上でどう動くか、の方が重要。この点を殆ど伝えていない事が問題。自転車の上で使えていない筋肉を使ったり、動かせない関節を動かせるようになるのは、まず無理。天才とか言われる資質のある人は出来たりするが、99.9%の普通の人は自転車上ではなく陸の上で動きのトレーニングを行う事をオススメする。
自転車はサドル、ハンドル、ペダルの3点で体を支えていて、この内のサドルとハンドルのどちらかに頼る事が多く、力む人はハンドル、力めない人はサドルに寄りかかっている。速い遅いに関係なく上手く乗っている人はやはりペダル(BB付近)にしっかりと乗れている。自転車は3点で固定される事によって、使いやすい方法ばかりを使っていくらでも誤魔化しがきいてしまう。サッカーやバスケで体勢を崩しながら片足や片手でシュートとか、スケートのショートトラックで押されたり押したりしながら急コーナーを曲がったりとか、サーフィンもスキーも同じで、掴む場所、固定される物が無い不安定な中で体を安定させたり、外からの力を逃がしたりしないとないといけないという状態が当たり前というか、出来なければお話にならない。しかし自転車は3点支持で誤魔化せてしまう。せっかく良いポジションを出してもらっても体を動かせないでは宝の持ち腐れになってしまう。ロードレーサーの場合はペダルを踏めば勝手に進んで行ってしまうので体が動いていないとかロスが多いとか、わからない。パワーメーターにしてもあくまでもクランクやハブ軸の捻れを測っているだけなので、体が動いているかどうかは見えてこない。ワットが下がっているのにタイムは上がっているのならば体を動かせるようになっていなっているという1つの指標になるのかもしれないが、関連性が見えるほどに事例が多くないので何とも言えない。しかしマウンテンバイクの場合は明らかで、激坂等で勢いを付けずにユックリでも登れるか、登れないに分かれるので、体が使えるようになったかどうかが一瞬でわかる。

クロスのレースを見てこういう思いが一層強くなった。
陸の上で出来ないことは自転車の上でも出来ない。自転車の上で出来るようにもなれない。自転車に特化した、自転車だけが速ければ良い体が必要なのは世界のトップだけ。
今では少し大きな都市ならばアスレティックトレーナーや、体の動きを見てくれるトレーナーのいるジムは多くある。そういったジムに通い、まずは体を動かせるようになって、バイクフィッティングによって出されたポジションなり、ペダリングなりを学ぶのが良いのではないか?
ロード、マウンテンバイク、TTの乗り方、メカニック的にも精通し、トレーナーの資格も持っているような人が増えていって、教わる事が普通になれば多くのライダーの乗り方が上手くなって行くのかも。