レース後の解析

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海外からは一足遅く国内のレースシーンの開幕を迎えている。
ひと冬を課題と目標を持ってトレーニングをこなし、迎える春先のレース、それもライバル達が勢揃いする公式戦の開幕戦は誰もが緊張し、自分の成長や仕上がりはもちろん、ライバルの成長と仕上がりは本当に気になって気になって仕方がないものだ。自分のやってきた事が正解だったのか、ライバルはそれ以上の事をしてきたかもしれないし、ひょっとしたら昨年まで無名の選手が台頭してくるかもしれない、トップレベルの選手だってその地位は安泰なものではなく落ちる時は一気に落ちてゆく。こういった不安はこれまでの練習で得た自信で補うしかない。こういった部分はただの精神論で、数値がいくら優れていても自分以上に走れているライバルがいたと同時に心が折れてしまう場合が多くある。数値が低かろうとも、その分を補う戦術だったり位置取りだったり細かなテクニックを磨いておけばその数値の差は十分に埋まる事がある。こういった部分の練習をしての自信っていうのももちろんあるのだが、どうしても体力的なものの自信ってものに傾倒する事があるので注意したい。様々な部分での自信を持つと良い。

春先の目標とするレースで不振だったライダーも沢山いるだろう。不振だった理由をちゃんと解析をしただろうか?集団から千切れる瞬間、アタックに乗り遅れる瞬間、追い付きそうで追い付かない瞬間、様々な不振がある。千切れるその瞬間ってのは鮮明に覚えているもので、その瞬間の自分の情けなさが大きいばかりに千切れる瞬間の場面だけの解析をしてしまう事がある。自身の持っている最大の出力を出しながら遅れてしまうのなら単純に最大出力が足りなかった事になるが、レースの後半のペースアップで足が一杯になっていて遅れてしまった場合は色々と原因がある。ペースアップで千切てしまったその瞬間は鮮明なものだから、ペースアップに対応できるようにダッシュとかインターバルとかこういった短絡的な方法を取ってしまう事が多い。しかしもっと全体的に解析していくと、その千切れはスタート直後からの雑な走り方による影響でジワジワと体力を削っていたのかもしれない。無駄な踏み返しとか、風を多く受ける位置取りとか、変速の遅れとか、ブレーキの回数とか、実はこういった細かな部分が積み重なって重要な場面で一気に出てきてしまう。こういった部分はレース中はアドレナリンが出て熱くなっているので殆ど気が付いていない。自分では練習通りに走っている、上手く走れている、調子はいい、と思っても自分をよく知る第三者が見ていたり、レベルアップして後々になって動画を見てみたりすると「そりゃそこで千切れるわ~」っていうポイントがたくさんある。
練習とレースは違うとは良く言ったもんで、練習では怪我をしないようにとか、綺麗に走るとか、ハイカーに気を付けるとか、車に気を付けるとか、強度がレースと同じくらいに高くても他に気にするポイントがあったりして100%走りに集中している事はほぼ無い。これがレースになると自分が勝てるように、エースが勝てるように100%集中しているから他の事は気にしていない、下手したら他の選手すら見ていない。練習で落車はしないのにレースで落車が起きるのはこういった事があるのも一つの理由かもしれない。練習では細かな、本当に細かなペースアップって気にしない事が多い、ほんの一瞬前走者と1M離れても自分のタイミングでその差を詰めていくが、レースではそこに他のライダーが入ってくるのでクランクを2~3回転強く回して差を詰める、詰めたは詰めたですぐにペースが緩みブレーキを掛け、またすぐにペースが上がって再度クランクを強く回す。レースではこういった事の繰り返しで、これは練習ではなかなか出来ない。というのも練習ではなるべく平均的に走るし、先頭でペースダウンしそうになったら交代するから踏み返しを繰り返すって事が少ない。それでレースになるとチョコチョコと踏み返しがあっていつの間にか消耗してしまっている状態。変速のタイミング一つとっても、早め早めに変速するという事を常に意識して身に付けておかないといけない。ブラインドコーナーの立ち上がりで、軽いギアにしなくても十分に加速に対応できるからってそのままのギアでコーナーに入ったら、前方でハスって落車しかけたみたいで一斉にブレーキして一気にスピードが落ちた所からのフル加速ってのを考えると、ギアが重ければ加速に時間が掛かってしまうし、変速している瞬間に数メートルは遅れてしまい、ゴール手前だったらハイ終了~。MTBやクロスでは海外のトッププロがギアを変えずに曲がって行き、やはりこういう場面になって重いギアで加速していくのを多々見ることがあるが、プロでも意識的に行わないと忘れてしまう。というのも試走時にレースペースで走っている時はちゃんと意識的に行っているのを何度も見ている。ブレーキも同じで、速く曲がろう速く曲がろうと思えば思うほどにブレーキが遅れてコーナリング中に曲りきれない事が分かって強くブレーキをしてしまって結果的に遅くなる。こういった事から、遅れてしまう大半の理由は遅れるまでにちゃんと理由がある。もちろんダッシュできる絶対数やアベレージのスピードの差ってものはあるが、同じ強度で同じ時間のダッシュを10本できるライダーと8本できるライダーが勝負したときにこの2本差をどうやって埋めるか、縮めるかってのがレースの楽しみだし、面白みだ。

今日は雨上がりって事もあり、水分で路面抵抗が重くなった山道を狙って一人模擬レースを行った。レースを意識したものなので先述したような事をイチイチ考えながら走った。シングルトラック(幅1Mくらいの細い道)から林道に出る箇所や、その逆の場合は、その場所でダッシュをしてペースを上げる。これは他のライダーと競い合っているという体。道が広がったら前に出たいし、道が細くなるなら先に行きたい。この動きに対応する為にレースペースからのダッシュを入れていく。これが出来ないと、この先に長い下りがあるのに自分より下りの遅いライダーに前に入られてしまったら、更に前にいるライダーと差が開いていって勝負は決まってしまう。
レースで何が起きてどういった理由で勝ったり負けたり遅れたりするのかを常に練習に落とし込んでいかないといけない。ただ何ワットで何分、何拍で何分という練習ばかりやっていても、レースが複雑化してペースの上下動が激しく、コースが難しくなったら対応できない選手になってしまう。細かな風向きの変化とか路面のザラつきの違いとか集団内でピタっと空気が止まる瞬間だとか、常日頃からこういった些細な違いを感じ取る事としているとレースでもその違いを感じて修正して無駄足を使わないようにできるようになってくる。