にわか先生

リアリティーを追い求める。これは選手を目指した頃からすっと変わらず持ち続けている信念。
リアリティー=真実。このリアリティーが自転車界において崩れつつある。レースでの話ではなく、コーチ、指導者、先生といった教え手側の話。
崩れつつとは一体どういう事なのかというと、「教え手のレベルが下がっている」。もともと教えられる人材が少なかったり、教えてもらう機会、場所が少ないので、下がっていると言われてもピンとこないかもしれないが、簡単に言えば「少しの経験と知識で誰でも先生になる」状態だ。
これはネットの普及が一番大きいだろう、ナショナルチームレベルのメニューや、それに携わる関係者が書く内容が誰でもネットで読めてしまうので簡単に「にわか先生」の出来上がり。もちろん核心や細かな事は書いてはないと思うが、さわりの部分だけでも様々な関係者の書く事を読んでまとめ、覚えた後に初心者にスクールをしたのなら「この先生の知識凄い!」ってなる事だろう。
僅かな経験と知識、そして自分自身でも体現できないようならば、私は教えるべきではないと考えている。

しかしスクールが良い商売につながる現在では、僅かな経験、体現も出来ない「にわか先生」がスクールをしている現実。英語で言えばニューホライズンの遥か手前、This is a penくらいを覚えた人が英語の先生をやっているような状態だ。企業としては儲けが目の前にぶら下がっているので書き入れ時という考えもわからなくもないが、そこに混ざってThis is a penしか解らないのに教えてしまうアスリートやサイクルショップに問題がある。
私がマウンテンバイクの乗り方を教える事に対し、経験が無いとか、知識が無いとか、自分でも出来ないじゃんと突っ込みを入れる人はほぼ皆無だろう。http://oga.bikejournal.jp/?page_id=90をご覧いただければわかると思うが、経験と知識はそれなりにある。過去にはトラック競技(競輪みたいなやつ)の指導を補助的で良いからやってくれないかと話を持ちかけられた事があったが、丁重にお断りした。というのも、ちゃんと指導するには経験も知識も乏しかったからだ。トラックの2つの種目で長野県で1番になり、何度も長野県代表選手として国体でトラックを走ってきていたが、指導するには経験も知識も浅すぎると判断したからだ。
ところが、バックグラウンドが十分にあり知名度もあるアスリートやサイクルショップだと、流行りだからと新たに始めた種目の草レースに2~3回出場し、優勝も入賞もした事が無く、知識もネットでかじっただけという状況にも関わらずなんと「先生」になってしまうのである。アマゾンで売ってるんですか?それともウイ○ル?その先生っていう肩書き。
バックグラウンドが十分にあるからすぐに対応して、それ相応に先生っぽく出来てしまうから、更に問題は深くなる。
私の場合は自己紹介には書いてはいないが、ランニングの大会では駅伝で優勝経験があり、トレイルランでは出場したレース全てで優勝か入賞しているし、エクステラでは日本チャンピオンですし、トライアスロンも1990年代から行っていて入賞経験があるし、シクロクロスもカテゴリー1で入賞が何度もあるし、チームTTも個人TTでも優勝経験もあり、水泳ではマスターズの大会で入賞し、海外のアドベンチャーレースでも入賞経験がある。
私にとってThis is a penはビンディングをはめる事よりも簡単だ。

儲かるし需要があるからやっちゃうってのはリアリティーも糞も無いが、それに気が付かず肩書きだけで「へ~凄い人なんだ~」でスクールに申し込んでしまう人も同じ、実はその先生は生徒よりも経験も知識も少ないですよ!と。
こういった状況が横行しているのも、単に真っ当な教え手が育ってきていないという事に尽きる。とはいえお金をもらう以上は「にわか先生」ではいけないと思う、車の免許取り立ての初心者に金を払って運転習いますか??ランニングなら事故はしないが、故障や変な癖が長く付いてまわるかもしれない。もしダウンヒルだったら死人が出るだろうし、トレランだったら遭難するかもしれない。
少しでも良い指導を受けたいのなら、教え手のネームバリューはおいといて、どういった経歴なのかをしっかり調べる必要性がある。

こんな事を書いたのは、現在私は知り合い以外には教える事はしていないが、間違った指導や知識を取り入れてしまったのか、相談が持ちかけられ話してみると「なるほど・・・」と。その間違いで変に固まってしまったポジションや動きを解きほぐすのがどれだけ面倒か・・・生徒は真摯ですからね、恋は盲目と一緒。なので「にわか先生」でもいいけど、ルールを教える程度に留めていて欲しい。
資本主義とは逆行した考えだが、リアリティーを追い求める為には大金を積まれても責任の持てない事は教えられない。

全然関係ないけどジェンソン・バトンと。
オリンピックディスタンス(51.5)を2時間少しでゴールするからアマチュアの大会なら入賞するレベル。普通に速い。