チューブラータイヤ入門

サイクルスポーツ6月号にチューブラータイヤのインプレッションを行った記事が掲載されています。

チューブラーとは、ホイールにタイヤを接着剤(リムセメント)で張る構造のタイヤ。ん~~~~何と古典的なシステムだ、バーテープも同じく。
接着剤の量とか、バーテープの引っ張りの強さとか「数値が無い」。しかしながら、フレームとかホイールを開発する際には5軸産業用X-RAYスキャナーとか言うハイテクで偉そうな名前の物を使って開発したりしている。ボルト1本締めるのにも規定トルクがあるのに、チューブラーを張る時の接着剤の量は「適量」だ。
あれか、料理と同じで「塩を一つまみ」みたいなもん?小柄な女性と大柄なプロレスラーの一つまみが一緒なわけがない。
最新のロードレーサー1台の中にも、チューブラーのように何十年も変わらないシステムと、航空宇宙産業レベルの技術を駆使したフレームが同居している。実に奥ゆかしい。
開発にナノレベルまで拘ったかと思いきや、適量や目測で済まされる部分がある。実に愛しい。
タイヤを張った後のセンター出し、これも目測。冶具もなければ数値も無い、あくまでも張り手の目測。ま~サドルやハンドルのセンター出しも目測、自転車とは何と曖昧な世界。これが良い悪いのではなく、職人ってものが居る世界で、職人は数値や機械では見抜けない事を「感じる」という動物的な勘で見抜いて対処する。だから現代においても適量っていう曖昧な事に、ブレーキと並んで最重要なタイヤに命を預けられるのだ。

近年はクリンチャーが台等してきたといっても、走りの総合的なものではやはりチューブラーに軍配が上がる。
その違いは走りの軽さだろう、自身の適正空気圧から1気圧落として走るくらいの差がある。左右にバイクを大きく振るようなダンシングをするとクリンチャーはリムとビードの接点の所から「ポキっ」と折れるような感覚がある物が多いが、チューブラーはリムとタイヤとの一体感が強く、ズレ感を感じさせない。
チューブラーはマウンテンバイクでも使われており、海外のサーキットではプロ機材としてだが受け入れられている。サスペンションのボビング(不要な上下動)をコースと走り方に合わせて電子制御でコントロールする時代にタイヤはチューブラー、そして接着剤は適量だ。チームによってはチューブラータイヤが無い(いや、殆どのチームが無い)ので、チューブラータイヤメーカーからトレッドを張っていない物を購入し、そこにスポンサーや自社のタイヤトレッドを張るのである。急ごしらえの場合はタイヤからハサミを使ってトレッドを切り出し、強力な接着剤で張り付ける。なので良く見るとトレッドが波打っていたりする。まさにプロ仕様。

と言いつつ私自身はかれこれここ10年間はロードではクリンチャーオンリー。とはいっても何だかんだで最新チューブラーは乗っていたので、その進化(進化の無さも含む)は感じていた。また、クロスではチューブラーを使っていたが、クロスは冬のオフトレだったので毎年ホイール3セット分を張って、パンクした際のコストの問題で結局はクリンチャーを選んだ。とは言ってもクロスでチューブラーとクリンチャーはロードでのそれとは比べ物にならない程の差になる、雨の日のカンチブレーキとディスクブレーキ。ドノーマルなロードとフル装備のTTバイク。それくらいに違う。本気な人は面倒でもクロスではチューブラーが正義。
こんな経験もあった。同じ種類のホイールで、チューブラーとクリンチャーの両方を出しているホイールの両方をタイヤも同銘柄に揃えて乗ったのだが、明らかにクリンチャーの方が速く走った。クリンチャーの方が乗り心地が若干悪くなっていたが、スプリントも登りもずっと伸びた。クリンチャーのシステムでは、リム部分に内側から押し広げられるような大きな圧が掛るのだが、その圧に耐えられるようにリム部分が硬くなっているのでは?と。重量ももちろんクリンチャーの方が重かった、それでも走りはクリンチャーに軍配。
同じ種類のホイールでチューブラーとクリンチャーの両方を出しているメーカーは結構あるので、全てがこうだとはもちろん言えないが、こういった事があるのも事実。
練習もレースも同じホイールを使いたい、でも練習でチューブラーは面倒だしコストもかかるので練習用にクリンチャーを買って走ってみたらクリンチャーの方が走るじゃね~か!と。実に奥が深い世界。

最近はチューブラーをチューブラーテープで張るライダーも増えてきているが、ハッキリ言って走りの軽さという点でリムセメの方がかなり軽い。せっかく走りの軽さを手に入れられるチューブラーなのに、わざわざ重くしてどーするの?と。テープを触って分かると思うが、分厚くてクッション性があるので、それが走りの重さに出てソリッド感が減ってしまう。100%の性能を求めるならリムセメで。

話は変わるけど、表紙の女の子が可愛いと付け加えておこう。