ホイールを読み解くと

サイクスポーツ3月号を読まれた方も多いと思います。58ページより私が22本のホイールのインプレライダーとして登場しており、昨年も同じ様に同誌で20本以上のホイールをインプレをしてきた。
今回の本文の中でインプレライダー3人ともホイールは「フレームとの相性が大切」という事を大きく述べている。
この相性という部分は、メーカーが重量や風の抵抗等の「性能を数値として」前面に押し出している事とは、また違った見方で、数値よりも感覚を優先する事になる。
ホイールメーカーがどのバイクメーカーのどのモデルにアッセンブルして開発したのかを公表しているメーカーは稀だと思うが、プロツアーチームをサポートしているメーカーなら何となく見えてこない事もないが、小さなメーカーのホイールに至ってはサポートしている1人のプロの意見を元に開発しているってな感じでカタログに記載されている事もあるが、まさかそんな事はないだろう。と思いたい。

私が乗っているのはキャノンデールのスーパーシックスEVO。昨今の高剛性のフレームと比べると剛性は高くなく、バネ感があってウィップと同調させてリズムを取ってペダリングしやすいフレーム。
こういったフレームの特性を簡単で良いので見付けだし、そこに自身のペダリングの仕方、重心の位置、走る場所等を考えてホイールを選ぶと良い。
乗っているフレームによって評価が180度変わってしまうホイールもある、誌面の中ではTDF6、Rシス、マッドファイバーあたりがフレームとの組み合わせによっては評価がガラッと変わるだろう、だから「ダメ」なのではなく、組み合わせるフレームによっては、数値という性能以上の速さを感じられる場合が多々ある。前後で1800gあるホイールが1200gのホイールよりヒルクライムにおいてタイムが良いとかは結構あるもんだ。数多のホイールでタイムを取ってみると、こういった事が出てきてしまうのは毎回驚かされる。

誌面の中では、キシリウム、C24、C50、ボーラ80あたりがクセを殆ど感じず、多くのバイクに装着してもフレームの性能とホイールの性能がそのまま出てくると思う。こういったホイールは飛び抜けた部分の性能は少ないが、いわゆる全体的にバランスが良いホイールと言われる部類だ。もちろん鉄の重いフレームとカーボンのフレームとでは相性の幅が違ってくるし、相性の傾向も違ってきて当然。そこに乗り方までもが入ってくるから、ホイール選びは本当に難しい。

私が思うのは、ホイールはサドルやシューズといった身体に触れる部分と同じ様にライダー個々の感触が一番なんじゃないかと。これを言ってしまうと商売あがったり・・・ですが。とは言え、使用するホイールの特性や一番速い走らせ方を知っていて、その走らせ方を出来るライダーにとっては数値という性能は絶対的なものになる。
前述したヒルクライムで重いホイールの方が~ってのは、自分の中での基本的な走らせ方で同じ様に走った場合であり、1200gのホイールに合った一番速い走らせ方をすれば1800gのホイールにタイムを近付けたり、勝ったりする事はある。しかし1800gのホイールで最良の走り方をしたら更にタイムが伸びる場合もある、、、、。
数値という性能は絶対的だと言ったじゃっないか!と突っ込まれそうだが、そうなんだから仕方が無い。。。。だから相性がある。
こういった側面を捉えて考えると、プロツアーチームを長年サポートし、途切れることなく使われ続けているホイールってのはやはり速いんだろう。数年サポートしては消えていくメーカーも多々あるが、資金的な問題も大きいと思われるので全てだとは言えない。

次に、MTBホイールは主にクロスカントリー(XC)とダウンヒル(DH)に大雑把に分けられる。ロードでTT用ならMTBでDH用、ヒルクライムやロードレース用はXC用ってな感じだろうか。
MTBホイールは風の抵抗を考えていないが、コーナーでの粘りや振動吸収性を考えて作られており、舗装路での加速や登りがメチャクチャ軽くて硬いホイールでも、トレイルに入って走るとギャップで弾かれ跳ねてしまいトラクションが掛らないし乗り心地が悪い、コーナーで突っ張ってしまい粘らず限界が低くて滑る、といった軽さや硬さが絶対的なものではなくなる。
ロードホイールでは嫌われる事の多い「しなり」がMTBホイールでは非常に重要になってくる。MTBはタイヤの太さ、ブロックのパターンも豊富でロードタイヤの様に僅かな違いが出るのではなく、鈍感なライダーでもすぐに違いが判るくらいにタイヤへの依存度が大きいので、タイヤでホイールの性能をカバーして走っているライダーも多くいるが、これって凄くもったいない。もっとホイールのしなりとタイヤが変形してのしなりを使ってバイクを深く倒し込み、コーナリングスピードが1コーナーで0、5秒上がればレース中で100回曲がれば物凄い差になってくる。

MTBホイールもロードホイールと同じく、相性の悪いホイールでも速い走らせ方をすればそれなりに走る事は出来るが、その中でもどうにもならないのが乗り心地。路面が荒れた平坦ではスピードが上がれば上がるほどこの差がモロに出てきて、サドルによってケツを蹴り上げられペダリングがギクシャクしてしまうか、体幹でサドルからケツを僅かに浮かせていればペダリングに集中出来るかどうかくらいの差が出てくる。
29インチやフルサスペンションバイクになるとこういった部分が大幅に改善されるが、26インチのハードテイルではホイールの違いが重量だけでは見えてこない部分の差がハッキリ出る。29インチは外周部の軽さの差がかなり強く出るので軽さというのもののプライオリティーは高く、その中でも軽さとしなりが高次元でバランスされているのがローバルのコントロールSLかマヴィックのクロスマックSLRの2択。軽いだけ硬いだけのホイールは沢山あるが、タイヤを選ばず、ホイールが本来持っている性能だけでしなりを生み、トラクションと乗り心地が良いとなるとこの2つだろう。

私がMTBホイールに求める性能として、ニッチだが重要視するのは木の根等の凹凸と凹凸にホイールが入ってハンドルが左右のどちらかに切れ込みつつも、ラインは真っ直ぐなので真っ直ぐ走らないといけないシチュエーションで、重心移動か力でハンドルを真っ直ぐに戻す際にホイールをコジってしまっても腰砕けになったり、しなったホイールの戻り(フレームのBBでいうとウィップに近い)が一気に来ずにジワっと戻ってくるホイールが良い。荒れた路面をハイスピードで走るとこういった動作の繰り返しになるので、しなりの戻りが一気に来るような硬いホイールだと戻った後のラインがブレてしまったりするし、この戻りが「硬く」感じてしまい、長距離を走ると疲れてしまう。
王滝のようなガレた林道でも、実はこういった左右にハンドルが僅かに切れ込む事の繰り返しで、僅かな弾かれの連続。この弾かれがマイルドであったなら後半に足が残る事になる。

MTBホイールはロードホイールと比べてフレームとの相性よりも、乗り方との相性が大きいように思う。
という事で、ホイールの試乗は自分のバイクで、自分の走りを活かせる場所で行う事が大事です。