雪があるので折角なので

東京では7年ぶりとなる「大雪」となった1月14日。
案の定、交通はマヒし、徒歩での少しの移動ですらてんやわんやのお祭り騒ぎの様な光景でした。
一夜明けて、1月15日は非常に温かい日となり、雪が踏まれて固まった部分と、その部分が凍っているのと、新雪のままの部分が「混在」する非常に歩き難い路面へと変化している。
昨今ではトレイルランニング(以下トレラン)が一部のトライアスリートにもマウンテンバイカーにもオフトレとして定着しつつありますが、都心に住んでいたり、近くにトレイルが無い場合はなかなか「生のトレイル」に足を踏み入れる時間が取れない事が多いと思います。そんな中で、今回の様な「雪」が実は最高のトレラン教室となるんです。

軸の位置を保ったり、足首から腰までを柔らかく使ったり、蹴り過ぎないようにする等の事が上手く出来ないと、転ぶ、挫く、進まない等のマイナス部分がハッキリと出てくる。
様々な路面状況が混在するって事が実はミソで、常に足裏のセンサーを敏感にして、足裏に伝わってくる路面の硬さや形を瞬時に判別してそれに対応した臨機応変な動きをしていく事が求められるが、新雪だけだと多くの場合が走り方の癖のままの足形が雪上に作られる事が多く、臨機応変ってのが少ない。踏み固まった雪だけでは体重があればグシャっと潰れてフラットに近くなってしまうし、シューズのグリップに頼れてしまうのでこれも臨機応変ってのが少ない。やはり所々が凍っているというのが重要で、その凍ってる部分を踏むとツルっとシューズが予測できない方向へ滑ってしまう。
これが臨機応変に身体を使えるようになるための大リーグ養成ギブス。

少しの滑りには膝から下で対応し、大きな滑りには腰から対応しつつも上半身は常に前を向き、身体の上下動が少なくペースの変化も少なければ「体幹」でしっかり支えられていて、脱力と入力の切り替えができている事になる。これを力任せにバンバン地面を蹴って走ったり、着地の足が身体の真下ではなく前方だったり、上半身がのけ反っていたり、上半身を大きく揺らして走っていたりすれば、足首を挫きやすいし、軸がブレている事もあるので滑りへの対処が遅れるし大きく態勢を崩しやすい。
氷上では真上から力を掛ける分には滑る事は無く、軸がブレて斜めから着地してしまうから滑ってしまう。これは多くの人が理解の出来る事なので深くは掘り下げないが、では様々な路面が混在する状態でデコボコだった場合となると「どう走るの?」と。

ここ数年でフォアフット、ミッドフット着地が多いに取り入れられているが、トレランでは基本的にミッドフット(フラット走法、土踏まずを中心として足裏全面着地)を基本にすると登り、下りへの対応が行いやすい。特に濡れたトレイルや、今回のお題の雪や凍結の場合はフォアフット(爪先に近い方で着地)で走ると、上手く出来ていないと着地と同時に足が前にすっぽ抜ける、アスファルトではブレーキが掛っているという事。かかと着地では下りになるとフォアフットと同じように足が前にすっぽ抜けます。ミッドフットでは着地後に前後にグリップをする部分が残されているので、少しの滑りやバランスの崩れも補正しやすくなる。
ミッドフットは着地の際に土踏まずを中心として重心が真上から乗っている事を掴むのが重要で、かかとから徐々に土踏まずに移動するのではなく、着地と同時に土踏まずに乗っている事。
片足で立つ場合に爪先立ちよりも、かかと立ちよりも足裏全体、強いて言えば土踏まずの前の方に意識を持ってくると安定して立ちやすいと思う。トレランが片足立ちの連続だと考えると、最も安定するのはミッドフットとなる。まずはこのミッドフットを覚えてからの臨機応変トレラン。
レベルの高いトレイルランナーはフォアフットで身軽に飛ぶように走るし、エリートランナーは強く地面を蹴っているランナーも多いが、まずは基本的な走りで。

最初はドリフでも真似してるんじゃないか?ってくらいに足が四方八方にとっちらかり、視線は真下になり、手はバランスを取るために横に上げ羽ばたき、ヨチヨチ走りになってしまうかもしれないが、力を抜いて足裏に神経を集中して軸がブレないように体幹で支えるイメージをとにかく持つ事が重要。慣れれば1キロ4分ペースで走っても腰から下が別物のようにクニャクニャしてるのに上半身はビタっと真っ直ぐ進んでいるという見た目少し気持ち悪い走りが出来るようになる。短距離スケートの選手のスタート時と似ているだろうか、手足が左右に物凄く大きく動いているのに体幹部分は微動だにしない。そして日本の国技である相撲、これはもう体幹と軸の塊のようなスポーツで、是非ともその動きを盗んで欲しい。

走り慣れて上手く走れるようになってもペースを上げる必要はなく、体幹を使っている、脱力している、軸が保たれているという事が確認できれば良い。疲れている時やバランスが崩れている時は面白いくらいに走れなくなる、腰が落ちて力んでドタドタと走っている状態では滑りやすい路面ではそれこそドリフ状態。
こういったテクニックが身に付くと、トレランで下りを飛ばせるのでもっと楽しくなる事はもちろん、ランニングでも特に夜道を走るランナーはマンホールなどでグキっと足首を挫く事が多いから咄嗟の判断ができるようになるので捻挫等がぐっと減る。

雪が降って滑るから休む、のではなく積極的にそれを活用して欲しい。トレイルの豊富な土地に住んでいない者にとって今回の雪はお年玉、ほんの少しの機転で都会でもトレランに必要なテクニックトレーニングを代用できる。次回、雪が降った時にはトレラン気分で走りに行ってみてはどうだろうか?

もちろん、人が多く行きかう場所で滑りながら走るのはコケて人を巻き込む恐れがあるから危険だし、慣れていないのにいきなり速いスピードで走り出すのも危険なのでその点は注意して欲しい。