プロが放つ言葉

皆さんはプロライダーが放つ言葉に対してどれほどの信憑性をもっているだろうか?
「軽くて進む」、「踏んだら踏んだだけ反応する」、「登りでギアが1枚違う」等々のプロのお言葉を聞いた事がある方は多いだろう。もちろん嘘を言っているわけではない・・・・と思うが、スポンサーが付き、お金を頂き、広告塔としてサポートされている手前、「悪いです」とはなかなか言えないものだ。
憧れ、崇拝するようなプロライダーが放つ言葉は絶対!とばかりに憧れのプロライダーから聞いた事を、そのまま仲間にも言い聞かせる人も多くいる。それを聞いた方は「スポンサーの手前でしょ」と感じるか「なるほど!」と感じるかは人それぞれで、どちらが良いも悪いも無い。ただ、その製品には2つ良い所があって3つ悪い所があっても2つの良い所しか漏らさないだろう。それがプロライダーって職業だ。
しかし中には正直に悪い部分も伝えるプロもいる。その中でも頭の切れるプロなら良い所を喋りつつ悪い所をやんわりと伝えて「更に良くなる次ぎのバージョンを待った方が良い」と購入する相手の気持ちを酌みつつ、スポンサーへの配慮も忘れない。私が一番頭を悩ませるのがスタッフや近い場所にいる方へのインプレッションした製品の伝え方だ。というのも、近い場所にいる方ってのは、その方の地元では「〇〇プロと親しい」とか、「〇〇プロのスタッフをしている」とかでその方が「〇〇プロがこう言っててさ~」と話せば「おお~なるほど!」ってな感じに知らず知らずのうちに話が大きくなって伝わって行く。これは私自身に最近あった話でもあって、「オガは29インチを否定しているよね」というもので、いやいやいや、私は否定などしていない!自分に必要か不必要かでいったら不必要なだけで、29インチの特性もメリットも十分に知っている。29インチが全てにおいて26インチを圧倒しているというメーカーの大衆操作が気に入らないだけで、29インチは走り方やコースによっては確実に26インチより速い事は知っているし、経験している。それがどこかで捩れていき「否定」という所まで行ってしまった。こういった事から私は誰に対しても隠さず「ここがダメ」と言う事にしている。スポンサーをしているメーカーからすると怒り心頭な事かもしれないが、どこに出しても恥ずかしくない物作りをしていれば「ダメ」という意見はおのずと無くなっていくものだと思っている。2006年より独立して個人でプロとして活動するようになってからは、特に自分の意見というものを持って話すようにしている。プロ生活というものは長くて10年や15年、引退後の人生の方が実に長い。プロの時代にスポンサーの言う通りに「これは100%良いですよ」と一般ライダーに対してある意味、嘘を言っていたらいずれは「あのプロは嘘ばかり言う」という評価をされる。恐れずに「悪いものは悪い」と伝え、たとえスポンサーに怒られプロ生活が芳しくなくとも引退後にはその正直さがきっと生かされる。と思いたい。
こういった事からプロライダーに近い方が喋る事でも実は間違っている事が多くある。プロライダーってもんは天邪鬼で、同じレベルで走れるとか、理解できるレベルにある相手にしか本音を語らないのだ。チームのスタッフには「問題なし!」と言ったのにホテルの部屋でプロ同士になると「無理だよアレは!」と180度コロっと変る。スタッフは選手の言葉をそのまま地元で周囲に話すからどんどんと広まり・・・プロライダーに近い場所の方ほどお喋りで世話好きな方が多いからね。
こんな事を書くとプロライダーの嘘つき!と言ってしまいたくなるかもしれないが、大金を目の前に積まれ「これでこの製品をよろしく」と言われたら意志の強いプロでも「わかりました」と言ってしまうだろう。その辺を酌んでプロライダーを応援してほしい。