心技体を争いたい。

Photo(c) Manabu HAYAKAWA

マウンテンバイクとトライアスロン、両極端のような印象もあるが、実は練習からレースまで似ている点が実に多い。
その中身はまたの次回に書かせていただくとして、先日の横浜トライアスロンで考えさせられる事があった。スタートは全部で13ウェーブに分けられ、後半スタートのウェーブではバイクの途中で雨に見舞われた。その雨によって路面がスリッパリになり、滑って転倒者が続出。コースレイアウトがタイトコーナーが多いものだったのでその数はかなりになったと思う。特に転倒の多かったコーナーでは審判やスタッフが「減速!!」と物凄い勢いで選手に伝えていた。
私は自分のテクニックを理解し、コーナー中に周りの選手がいきなりライン変更してきても十分に対応できるマージンをとっての最高のスピードでコーナーに入って行くと審判から「おい減速しろ!!」と凄い剣幕で怒られてしまった。ここで「??」が頭に浮かんでしまった。レースでしょ?
順位やタイムを競う競技である以上、滑るコーナーで1秒をどうやって削るかってのは練習してきたテクニックを活かす部分であると思う。
体力だけを競うだけではなく、テクニックやそういった場合の一瞬の判断とか総合的な能力を競うものだと思うのである。
転倒者続出で安全管理を怠った運営側の責任とかもあるかもしれないが、それはマウンテンバイクでも同じ。泥々になればコケまくって血だらけで怪我しまくる。
だからといって運営側が責められはしない、自身が下手なのが悪い。落車に巻き込まれてもそこに居た自分が悪い。ロードレースでも考えは一緒だ。
私も公認審判の資格を持っているので選手を安全にゴールさせるという事に関して良く理解できる。今回はITU(国際トライアスロン連合)のルールに則り一般クラスといえどもウエアの前面チャックは下げて走ってはならず。しかし水温が高いのにもかかわらずウェットスーツの着用は義務というローカルルールの適応。ITU関連のレースだとしても一般クラスは安全を優先して全てローカルルールだとしてしまった方がいいのではないだろうか?濡れたコーナーでは時速20キロ以下でを遵守とか。
とはいっても雨が降ったら滑るから減速させて安全に走らせるという事ではいつまでたっても滑りやすい路面で滑らせない様に走るテクニックを身に付けるという考えに至らない。
まさに臭いものに蓋的な考え方なので、本当に速くなりたいという向上心があるバイクジャーナル読者には是非、雨が降ったら空いている駐車場なのでタイヤの滑り出しの感覚を掴む練習をしていただきたい。その感覚を掴む最高の練習がシクロクロスだと以前の日記にも書いた。タイヤを滑らしながらペダリングしてコーナーを曲がっていくテクニックが身に付く。雨が降り始めてから目の前で5人は転倒したが、どれもこれも「そりゃコケるよ」ってものばかりだった、ドライな路面と同じ進入角度で、しかもコーナー中に前輪ブレーキを強く掛けたりしていた。これを説明すると、雨でリムとブレーキシューが濡れてブレーキを掛けてもホイールが2周ほど回らないとブレーキが殆ど効かない状態になっており、それを完全には把握しておらずにコーナー手前でブレーキを掛けたがブレーキレバーを握った強さとはかなりズレた効きしかないからそのまま握りっぱなしでコーナー途中まで行ってしまいブレーキがいきなり効くようになって前輪か後輪が滑ってコケる。バイクがまだ真っ直ぐの状態の時にブレーキを当て効きさせてリムの水分を飛ばしておいてからコーナー直前でちゃんとブレーキングをするという雨の日では「当たり前」の事が出来ていない参加者が物凄い数だった。
また、こういったテクニックを教えていない事も大きな問題だ。何ワットで、何拍で、何分といったようなメニューや、ポジションやフォームといった事に着目ばかりしているが、自然を少なからず相手にするスポーツでは悪天候時にどう対応するかとか、落車しないようにするテクニックという事のほうがはるかに大切なはずだ。
ロードレーサーしか乗らないライダーの前でロードレーサーで階段を降りると「壊れないの?パンクしないの?」と目を丸くして聞かれるが、壊れたりパンクする原因を理解していれば階段を降りるのにその点に注意しながらテクニックを使えばバイクにダメージは無い。コケるとかパンクするとかのこういった原因をちゃんと理屈で理解して練習する事が必要。
マウンテンバイクライダーが上手いのではない、頭を使ってちゃんと理屈を理解して練習してテクニックを身に付けているだけだ。トライアスリートでDHポジションのまま8の字走行をしたりダンシングしてみたり激登りを走ったりした事があるだろうか?何に必要かはすぐには見えてこないかもしれないが咄嗟の時に必ず練習したかしてないかが出てくる。
真っ直ぐを速く走るためのテクニックが全てではない、濡れたコーナーを1秒でも速く曲がるのもテクニック。その両方を突き詰めていく事が速さに繋がり安全に繋がる。
ということで今冬はシクロクロスだ!