独り言


今回のエクステラ3連戦にはプロカテゴリーにフランス、イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、スイス、ドイツ、フィリピン、そして日本から私、小笠原が参戦した。

このエクステラという競技は誕生してから比較的新しいもので、世界的にみればまだまだ発展途上といったところだがアメリカでは爆発的にレース数が増えており、それに伴ってプロの数も増えてきている。

多くのエクステラプロアスリートはトライアスロンかマウンテンバイクからの転向がほとんどで、この3連戦で3回とも2位だったOlivierMarceauはトライアスロンの世界チャンピオン、2度のオリンピック出場で7位、8位と素晴らしい成績を引っ提げてエクステラへ転向し、エクステラの世界選手権でも常に上位に入っている。

昨年のエクステラ世界チャンピオンのMichaelWeissはマウンテンバイク出身で、ワールドカップで何度も1桁でフィニッシュし、世界選手権でも10位というリザルトを引っ提げてエクステラに転向、同時にアイアンマンでも優勝、入賞という成績を収めている。

過去の勝者を見る限り、ショートのトライスロンから転向したアスリートの割合が多い、圧倒的なスイムのスピードでバイク出身のアスリートに数分の差を付け、バイクで逆転されてもランのアタック合戦で最後の最後で競い勝つという事が多かった。バイク出身のアスリートが勝つレースの内容は、スイムで最小限の遅れ遅れに留め、バイクでリード奪い、ランでは後続の2位や3位のトライアスリートから1分落ちほどのランタイムで纏めている。

昨今ではあのLanceArmstrongの参戦が騒がれた。Lanceは元々トライアスロン出身で、アメリカ選手権のスプリントディスタンスで2連覇をしている事から3種目をこなす事へは何の障害もない。マウンテンバイクも年に数回レースに参戦しているのでテクニックが凄くあるとまではいかないまでも、アメリカの大味で簡単なレイアウトでは、その身体能力で十分対応できる。

そんなLanceは昨年エクステラ世界選手権では23位、今回のエクステラサイパンではLanceの前後でフィニッシュしているアスリート達も参戦しており、サイパンで7位だったBrandenRakitaは世界戦で20位、サイパンで5位だったGrahamWadsworthは世界戦ではLanceに続く24位であった。ちなみに私はサイパンでは4位、世界選手権にはエントリーしておらず。

私がエクステラに参戦を始めて6年。レースを走る度に学ぶことが多く、まだまだ自分で納得できるような域には達していない。自転車という1つのパートを取り上げれば、機材から練習方法にいたるまで十分に語る事が出来るが、3種目となるとスイムやランニングなどは赤子に毛が生えた程度だ。学ぶことが多いという理由の一つに、エクステラのコースバリエーションの多さにターゲットを絞り切れていないというものがある。

特にランは高低差が10M程でアスファルトと砂利道ばかりといったレイアウトもあれば、ヌタヌタになった直登を這って進んでいくといったように、レースによって全く違う要素が求められる。中にはこういった要素が半分ずつの場合もある。とはいってもランは10~12キロの距離なので、やはり5000Mのタイムが基準となってくる。

15分を切るタイムを持っているとランが得意な部類に入り、僕のように16分を切れるかどうかというレベルでは並以下だ。しかしバイク後のランはこの5000Mの持ちタイムが全く的が外れる場合がある、マウンテンバイクをどう走らせているかでランが走れるかどうかが如実に変わってくる。マウンテンバイクレースのように短い坂はダンシングで踏んで一気に行ったり、ギアを変えずに自身の出すパワーを上げてこなしていく走り方だと笑ってしまう程にランに響いてしまう。

私も長年のクセで回転数を保つ走り方ではなく、視界にある坂や重馬場を最速な選択でこなしてしまおうとしてしまう。これでは足を使いすぎてしまう。目の前のその坂をいかに速く登るか、、、、ではなく、ランのゴールをいか早くするか、、、。こう考えるとガツガツと踏んでいくのではなく、ワット、心拍、回転数を一定に保っていかに速く走るかって事が見えてくる。

練習方法も変わってくるだろう。全力ダッシュは神経系の繋がりを維持するのみで、インターバルの仕方も大きく変わってくる。実は非常に苦手な分野だ、心拍数をMAXの85%で2時間ペース走といわれても気が滅入ってしまう。しかしこの85~90%の心拍域で高効率な動きの体得ってのが急務。

また、ランのコースが直登ばかりで下りは石がガレガレだった場合にも5000Mの持ちタイム通りにならない場合が多い。サイパンのコースは序盤に平坦があるものの、コースの殆どがジャングルの様な森の中で、木を避けるために常に身体を右へ左へ捩じり、倒木をくぐりながら走らないといけなく、全力で追い込みながら様々な動作を入れる事は思った以上に辛い。

こういう事から、普段の練習で5000Mのタイムを上げるためにトラックでのインターバルはもちろん、自然と人工物を使った不規則なインターバルを行うことも多い。その内容は階段をケンケンで上がり、上がったら大きく跳ねるスキップを2分、ジャングルジムを乗り越え、手を付いて4足歩行、連続するポールをスラローム、その場で高くジャンプ30回、最後に心拍数MAXの90%で2分。これはほんの一例だが、この科学が発達した現代において非常に古典的な方法を用いている。

こういった競技特性であろうか、プロアスリートも非常にダイナミックで柔軟な思考の持ち主が多い。身体能力をとって見れば超一流のアスリートなのに、どこか抜けてて「大丈夫?」って言いたくなるような感性。僕も感じる事だが、形式ばった競技を卒業したアスリートが行き着くのがエクステラやアドベンチャーレースといった緩くてアバウトなレース形態ながら、スタートするとその世界でトップレベルだったアスリート魂に火が付き真剣なガチンコバトルに。

日本で行われるエクステラジャパンは8月25日に群馬県は丸沼高原にて行われる。皆の「チャレンジ」を待っているし、ユニバーシティー(講習会)でバックアップもあるので気軽に参戦していただきたい。

小笠原崇裕