シートピラーのサイズ

やはりシートピラーのサイズ(径)は、27.2mmが自転車としてのトータルバランスに優れていると思う。
MTB、ロード、クロス、TT、ピストと様々な車種。鉄、チタン、アルミ、カーボン、複合と様々な素材。手組みのアルミ、手組みのカーボン、カーボンコンポジット、ディスク、完組みアルミ、完組みカーボンの様々なホイール。そして様々なサドル、パンツを使用してきての結論としてシートピラーは27.2mmが調子が良い。
このシートピラーと呼ばれるパーツは、往々にして「軽けりゃ何でも良い」という感じで御座なりに選ばれて来た。しかし実際にはこのシートピラーがバイクの乗り心地に大きく起因する。

95年頃からのアルミフレーム全盛期に入る前に、バイクメーカーはこぞってアルミフレームに剛性を持たせようと試行錯誤。ピナレロのケラルライトのようにとにかく剛性至上主義的なフレームが多く作り出され、アルミ全盛期を迎えてカーボンがこの座を奪う前にはすでにアルミフレームはプロからも「硬すぎる」ということで、剛性を落としつつ反応性の良さをいかに残すかという課題に取り組んでいたように思う。そのアルミ全盛期にはメーカーの思想によってシートピラーのサイズがマチマチ、昔ながらの鉄によく見られる27.0mmもあれば34.9mmという極太なものまで本当に様々であった。体重あるライダーが乗り、パリ・ルーべを走るバイクと、体重の軽いライダーが乗り、日本の綺麗なサーキットを走るのとでは全くもって耐久性の必要性が違ってくるが、ここは日本における日本人に合うシートピラーのサイズを考えたい。確かにアルミのシートピラーが殆どだった時代は、軽量なモデルではペダリングと路面からの突き上げでシートピラーの前側(サドル先端側)から金属疲労で最初は小さな筋が入り、次第に大きくなって、最後は車のシートが後に倒れるように完全に折れてしまう事が多々あった。体重があり、サドルを後方に大きく引いて乗るライダーは、ペダルを前に踏むようなペダリングをする傾向にあり、踏むとお尻は後方に動こうとするので剛性の低いシートピラーでは、しなってしまって力が逃げてしまうという事もあるし、フレームの主な場所にアルミのメガチューブを使用しているのに、シートチューブだけ細いパイプでは剛性のバランスや見た目が良くない等の様々な事情から31.6mmというシートピーラーも多く使われてきた。

90年代後半にはカーボンバックが登場し、乗り心地が改善され、シートピラーに求める要素は軽さだけでいいのかも!?となりそうだったが、実際にはホイールの高剛性化が進み、バイクトータルとしては更に「硬く」なってしまったように思う。
MTBではフルアルミのメガチューブのフレームに、高剛性な完組みホイールで毎年スピードの上がっているサーキットでは「こ、こ、腰が、、、」という声をずいぶんと聞いた。バイク全体のバランスを保つためにもここでも太目のシートピラーが使われ、ライダーの体力を削っていた。
時代はカーボンフレーム全盛期になり、シートピラーもカーボン化。剛性コントロールが場所場所で安易に出来る様になり、乗り心地が良く反応性も良いっていうフレームが当たり前になってきた。しかしその中であっても、しなってショックを吸収するという乗り心地に対し根本的に起因するシートピラーのサイズは重要だ。

バイクというものはサドルに「どっかり座る」ものではないと考える。あくまでもペダル、ハンドル、サドルの3点支持の中の1つである。でも疲れてくると、どうしてもサドルにどっかり座ってしまう。そう、瀕死なボクサーのガードが下がっているような状態だ。こういった状態の時に路面からのショックは身体を動かしてショックを逃がす事が出来ずにモロに身体に伝えてくるので、そのショックを少しでも軽減させたい。その最後の砦がシートピラー。サドルやパンツのパッドもあるが、これ等は乗り心地よりも、骨が当たったりして痛くならないか、股擦れしないかに気を使うので、やはりシートピラーが最後だ。
カーボンフレームではエアロと軽量化のためにフレームとシートピラーの一体型の流線型の太いシートピラー?シートチューブ?が増えている、やはり乗り心地が悪くなるのだろうか、その部分にショック吸収素材を埋め込んだり、前後にはしならず左右にしなるように設計したり、ヤグラの部分に近くなるにつれ細身になっていくなど、快適性というものに随分と拘りを見せている。

最近では27.2mmと31.6mmがよく使われているサイズだろう、シートピラー単体で買おうとするならばこの2サイズのみの展開が多い。コルナゴのC40やC50は28.0mmという特殊なサイズを使用していたが、今となってはこれも過渡期の思い出だろうか。ジャイアントがスローピングのフレームを世に送り出した最初のモデルに乗った事があるが、スローピングによって突き出たシートピラーで何とも乗り心地が良かった。アルミでスローピングとなればフレームが硬くなる事は避けられないはずだが、この頃よりシートピラーの違いによるバイクのトータルとしての乗り心地にもかなりの違いが出てくることを学んだ。
今では太いシートピラーならシムを使ってでも27.2mmを使おうかな?と考えるほどだ。