ヒルクライムだけじゃ・・

ヒルクライムばかりの練習では強くならない。

日本人の気質なのか、比較的コンディションが一定で、以前のタイムと比べやすいスポーツ、練習をしたがる。自転車でのその主たるがヒルクライムだ。関東で有名なヤビツ峠(30分程度)を5本登るとか話を聞くが、一体何を目標としてトレーニングしているのか理解ができない。30分を5回登って2時間30分、しかし2時間30分登るようなレースは日本には存在しないし、海外でもプロツアーの山岳ステージとかじゃないと滅多に現れないのだが、実業団選手でもないライダーが何度も往復している。
以前の日記でも書いたが、自己満足な練習と強くなる練習を混同してしまっているライダーが多くいる。僕は第一線で走っていた頃から登りが本当に嫌いだった、だた苦しいだけで何の楽しさも見出せなかったが、登った後の下りが楽しくて仕方なく登っていたようなものだった。それでも練習の為にたまにヒルクライムレースに出たりしていて、栂池では53分台で登った記憶がある(実業団で20番前後だった記憶)。登りが嫌いなのでクライマー体型になるはずもなく、身長170センチの体重67キロ前後と持久系選手にしてはヘビー級の重さだったが、栂池のタイムから考えるにメチャクチャに遅いわけでもなく、得意ではないがプロとしてダメだと言われない程度には登れるという感じだった。その分、スプリントは練習をしなくとも得意で、ロードレースの集団スプリントで何度も優勝&入賞していたが、最後まで何度か絡んだ宮沢選手には一度も勝てなかったが・・やはり1流のスプリンターは違う。

なぜ、ヒルクライムとスプリントの話をしたかというと、両極端に位置するこの2つを高次元で実現する事こそ自転車(ロードレース)の醍醐味ではないのか?と思うのである。
前述したヤビツ峠、僕なら2本登って、平坦で60分のPA走というメニューを組む。その理由はブリックトレーニングという方法があり、2種類以上のスポーツを組み合わせて疲労していない筋肉を使って更に心肺系に刺激を入れるという方法。これはトライアスロンの練習でよく使われ、バイク→ランやバイク→ラン→バイク→ランというように交互に繰り返す。僕が考えるに登りと平地とスプリントは組み合わせることによって十分にブリックトレーニングになり得るって事で、登りだけ平坦だけといった単体で練習するよりも時間に対する効率「時間対効果」が高いと考える。特異性の原則というものもあるが、これはスキルの要素が大きいので心肺系では無視して良い。

そして登りばかり頑張って走る弊害として、ペダリングが踏み込み型になってしまう事が多い。平坦では慣性でバイクを流して走るので、ストンと落ちていく足を円運動により近付けようとする意識が働きやすいが、登りでは慣性より重力が大きいので常に踏み込んでいくペダリングになりやすい。次に平坦では自分で踏み上げて負荷を上げていくが、登りでは与えられた負荷が大きくなる、この違いは平坦では絞り出すような力の使い方に対し、登りでは耐え忍ような力の使い方。フォームにも違いが出る、平坦では風の抵抗が増えるような雑なフォームを取る事をしなくなるが、登りでは風の抵抗は殆ど無視できるようになるので上半身を大きく振って登ってしまう事がある。これが身に付いてしまうと、集団で登りに入った際に走行ラインがブレてフラフラ走る事になり非常に危険だ。
競輪選手が峠を何度も往復している光景、登りが無い競輪でなぜ峠に??生粋のスプリンターでもヒルクライムで鍛える部分があるって事。登りではペダルに常に負荷が掛っており、踏んでるポイントが判りやすいので平坦と同じ踏み方で走る事によって踏み遅れがあるとか、抜けている個所があるとか判断しやすい。これと同じ事が言えて、ヒルクライマーといえども平坦を高速で走りスプリントする事にって見えてくる部分が大いにある。下りは擬似体験が出来ない部分なのでしっかり練習して欲しい。先日の茂木エンデューロでは、普段では出さないようなスピードで下っているのか、ハンドルにしがみついてガチガチになって集団内にいるライダーの多い事多い事・・・これで周りを巻き込んでの落車を起こしたら・・・レースは平坦も登りも下りもあってのレース、下りの練習も登りと同じくらい重要視して行って欲しい。

バランス良く鍛えて、その中で得意な部分を作るように練習メニューを組む事を勧めたい。